“おっ！ひかりの大好きな桜の木だ”
いつもより甲高い声で言った夫を見て、思わず笑みがこぼれた。

豊かな自然と都市生活を両立できる「徳重」という地に魅せられ
目の前の梨の木公園の桜に運命を感じた日から早10年。

自然の中で子育てしたい想いと、都市生活の利便性を捨てられないジレンマで
あれだけ悩んだ家探しも、最後はすんなりと決まったね。

子育て中心に廻ってきた家族の生活も
今では息子は高校生、娘は中学生になる。
子育ての方針や、仕事のストレスで
夫と喧嘩することもあったけど
窓から見えるいつまでも変わらない桜の木を見ると
あの頃を思い出し自然と心が鎮まっていく。

梨の木公園の桜の前で撮る恒例の家族写真も、次で11枚目。
20枚、30枚・・・と続けていきたいけれど
息子も、娘も、この頃は一緒に写るのが少し恥ずかしいみたい。
いつまで付き合ってくれるかな。

毎年増えていく私と夫の宝物。
いつか子どもたちの宝物になってくれたらいいな。